【日記】旅行先で鍵を失くして鍵屋を呼んだ話【備忘録】

※今回の話は北海道旅行の後日談です!!




なんやかんや、私は家の鍵を失くしたことがなかった。(過去形)

自分が物をなくしやすい気質だという自覚はあるので(実際に、タクシーにスマホを置いて行ってしまい、公衆電話からタクシーに電話したことがこの一年で三回ほどある)、
部屋の中で行方不明にしないように、家に帰ったら鍵はドア裏のフックに掛ける、
出かけた時は服の特定のポケットに鍵を入れる、
落ちたら気付くような大きめのキーホルダーを付ける、
などの事を徹底して、鍵をなくさないようにしていた。


旅行に行く直前、鍵をどこに入れておくか…? ということで悩んだ。
落とす可能性も考えて、鞄の中のどこかに入れておこうか…と思ったのだが、
今まで落としたことが無いし、どこに入れたかを忘れるのも怖いと思い、
普段通り上着のポケットに入れることにして、旅に出発した。



旅行を楽しんで、空港で、何か食事でも取ってから帰ろうと歩いていた時。
「落ちましたよ」親切な人に声をかけられて、旅行先で見に行った施設のチケットを落としていたことに気付いた。
お礼を言い、上着のポケットから落ちてしまったのか…とチケットを拾ってポケットに入れた時、気づいた。
鍵がない……。(伏線を回収してしまった)


この時点で全てが手遅れな事に、私は気づいてしまった。
あろうことか北海道に鍵を落としてきてしまったのだ。すべてがもう遅い。
時間帯はもう夜で、マンションに日中常駐している管理人さんはもう帰ってしまっているし、家の近くの鍵屋に駆け込むというわけにも行かない。
何より、明日も仕事なんですよ………………。
詰んだな、これ…。
食事も喉を通りそうになかったので、急いで帰路についた。


急いで家に帰ったが、私の住んでいるマンションの玄関は、オートロックの安心安全のセキュリティだ。
ダメ元で管理会社の(事件・事故・火災などの対応のため)夜間でも繋がる電話番号に連絡したが、案の定、「警備員を派遣して玄関のドアを開けることくらいしかできない、その警備員は部屋の合鍵は持っていない。派遣費用が別途かかります」みたいな返事だった。
ついでに鍵屋の電話番号を教えて貰えたので、これは安心安全な業者かな? と思ってホームページを見たら、ただの仲介業者だった。
24時間営業しているかのような書き方だったが、電話をかけてみた所、「本日は営業を終了しました、明日8時から営業再開です」みたいな自動音声が流れて来た。詰み。


とりあえず、オートロックの開けて貰えないか他の住人が来るのを待っていたが、そろそろ健康的な人間なら床についている時間帯なせいか、誰も来ず。


この時点で、私の中で頭に浮かんだ行動の選択肢は二つ。

1.私の仕事は開始時間が遅いため、ビジネスホテルなどで今日は一泊して、明日改めて朝一で鍵屋を探す。夜中よりは日中の方が安いはずだ。しかし開錠が上手く行かない場合、賭けになる。

2.深夜になっていない今のうちに行動を始める。詐欺業者が来るかもしれないが鍵屋を呼び、ドアを開けて貰って自室で寝る。

どれだけ節約したくても、寝ずに明日を迎える選択肢はない。寝なければ仕事なんかできない。できても心身の調子を崩す。やだ。
あと制服や仕事道具一式が部屋にある。愚か。
(この件で流石に非効率さを感じ、仕事道具は職場に置いておくようになった)


私は2.に賭けることにした。


オートロックを早めに開けるため、顔も名前も知らないマンションの住人の部屋に一軒一軒インターホンを鳴らした。(迷惑なピンポンダッシュだな…と思う)
当然誰もオートロックを開けてくれることはなく…と思ったが、五件目ほどで開けて貰う事が出来た。
おそらく同じようなことが多く慣れているのと、私が同じマンションの住人だと、玄関カメラの映像で気づいてくれたのだと思う。サンキュー同じマンションの人…。

昔「玄関前から私の部屋宛にチャイムが鳴ったが、玄関先に立っているのは見知らぬ若者」というシチュエーションが何回かあり、その時は不審に思い玄関オートロックを開けたりはしなかったが、私と同じように鍵を失くして(部屋に忘れて)家に入れなかった同じマンションの人かもしかして…と、この時合点が行った。
同じようなことがあったら開けてあげようかな…(最近は日中家に居ないせいか、それとも私の時にオートロックを開けてくれた人が開けてあげているのか、そのような事もなくなったが…)


自分の部屋の前まで来たが、鍵は当然開かない。
自室には合鍵が置いてあり、部屋に入れさえすれば勝ちである。
ベランダから窓を開けて入れたらいいのに…という気持ちもあったが、窓の鍵はしっかりと閉めた上でロックをかけてある。旅行前だからそうした。知ってる…。
勿論私は軽業師ではないので自室のベランダに登って侵入する術もない。


とりあえず、24時間対応の鍵屋の仲介業者に電話をかけてみる。
ホームページには、5000円から鍵が開けられる、30分前後で到着、みたいな事が書かれている。
電話先のオペレーターさんは雰囲気の良い方だったので安心したが、手配された業者は到着に一時間以上かかるそうで、oh…………となる。
「そうなんですか、料金はいくらくらいですか? 事前に見積もりできますか?」
「実際に鍵を見て見ないと値段は分かりませんが、13000円ほどかかります」
「ちなみに、鍵が開かなかったら無料でキャンセル、とかもできるんでしょうか…?」
「いえ…出張になりますので、キャンセル費用が6000円ほどかかります」
そうなの…………。

地味に料金がホームページより増えており、基本料金+出張費(キャンセル料金)+深夜料金みたいな事になっているんだな…? と察する。

不安を感じながらも、とりあえず鍵を見て貰わない事には始まらないので、依頼をした。

廊下で80分は長い。
部屋の前で大荷物でスマートフォンやswitchを弄る。
隣室の人が今出てきたら、さぞかしお互い気まずいだろうな…と思いながらも、実際はそんな事にはならなかった。

30分くらい経って、鍵の業者から連絡が来る。今こちらに向かっているらしい。
あと一時間ほどは待ってほしいと言われる。
そして、この業者、名前を名乗らない。
仲介業者から紹介を受けているのだから、会社名も別にあるはずなのだが、そちらも名乗らない。
明らかに不審であり、「お? ぼったくりかこれ?」と思った私の声もどんどん強張っていき、不機嫌になって行くのを感じていた。
(私は常日頃からいつも機嫌良さそうに・優しそうに振舞う癖があり、声に不機嫌を滲ませられるようになったのは最近の努力や変化の結果である…)

switchで大逆転裁判を進めながら時間を待っていたため、待ち時間が苦にならなかったのは幸いだった。
旅行帰りで良かった、と思える点だ。スマホもあるしお土産という名の食料もある。
あと充電器やモバイルバッテリーがあるのも良い。これもなかったら状況によっては詰みかねない。
最近コンビニなどでモバイルバッテリーの有償貸し出しサービスが展開されているが、あれってスマホの充電が切れてたら借りられなさそうなの、必要なタイミングを考えるとどうなんだろう? という気持ちが湧いてくる。

大逆転裁判のシャーロック・ホームズ、見るたびに五条先生の喋りが脳内再生されるな…。

業者が来た。内側から玄関オートロックを開ける。
業者の男性は、私を見て何やら(あっ! 電話の印象より大丈夫そうだ! という顔になった)安心したようで、タメ口混じりで事情を尋ねてくる。
相変わらず、名前は名乗らないし、制服に会社名が書かれている割には、それも名乗らない。

ガチぼったくり業者では…という疑念が強まって来るが、とりあえず部屋の鍵穴を見て貰う。
が。
「あーはいはい。このタイプのカギはね、ピッキングとかで開けられないです」

よし、帰れ!!!!!
遠路はるばる一時間半かけてうちまできてキャンセル料をふんだくるタイプのぼったくりか!? と思ったが、今日はもう諦めてここで仮眠するか、ちゃんとビジネスホテルを探して、何もかも忘れて寝よう、そうしよう…。

「あ、でも、開ける方法はあるんですよ。別料金だけど」

ちゃんと開ける方法はあるらしい。良かった、詐欺師じゃなくて一応はプロの人が来てくれたっぽくて…。
防犯上詳細は書かないが、ドアの鍵を非破壊で外から開ける方法というのがあるらしく、手法を説明してもらう。怖。

だが、鍵を開けて貰えるなら何でもいいし、むしろ、鍵を破壊するとかじゃないのなら、鍵の交換とかもせずに済んで良いのではないだろうか…。

「50000円になります」

えっ?????

「セキュリティのしっかりしたタイプの鍵の開錠、こういう手法による開錠費用、部品代、出張費含めて50000円になります」

よし、帰ってくれ!!!!!!!!!!!!!

「5万は無理です。お金ないんで」私は真顔でそう言った。
流石に夜中に来てもらって無料で帰って貰うのは申し訳ないのでキャンセル料は払うが、5万もは出したくない。
「カードとかでも払えるよ。あと親御さんとかに連絡して出して貰えない?」
「カード持ってないです。そもそもお金が無いです。親もちょっと期待できないです」
嘘は言ってない。あと多分これ学生だと思われてるな…。

ムカムカしてきたので、とりあえず言いたい事は言っておこう、と考える。
「この費用高過ぎじゃないですか? ぼったくりって言われませんか??? っていうか開錠費用と別の手法の開錠費用別々に取るんですか? 開錠費用だけで良くないですか? ホームページには5000円って書いてあって、電話先の人は13000円って言ってたんですけど????」
「ああ、それはね、簡単な鍵だったらそういう費用で開けられることもあるけど、それにうち、深夜に対応できるように、人件費とかあるからね、まあ安くはならないことはないけど」

ああ言えばこう言われる。ムカムカしてきたので「ちょっと考えさせてください」と断って、管理会社にこれ見よがしにもう一度電話。
朝になっても、個別の部屋を開けられる人員が居ないため、結局鍵屋に頼まないといけないと確認。
この時の私はかなり気が立っている風だったので、何の落ち度もない管理会社の電話担当の人が可哀想だった。

この人を返して、キャンセル料を払って、ビジネスホテル代を払って、明日また鍵開けを頼んで、仕事に間に合うかドキドキして…。
うーん………。

「…いくらまでだったら安くなります?」……とりあえず価格交渉をしてみることにした。
「四万くらいならどう? 払える?」
「まだちょっと払えないですね…もう一声…」
「三万五千円」
「いやまだ…」
「…じゃあ…三万」
「三万…三万ならなんとか…」
「三万なら払えるのね、オッケーオッケー」

なんでこいつタメ口なんじゃろな~ムカつくな~…。
結局、キャンセル料+ビジホ代+鍵開けを再度依頼する費用と比較すると、3万ならなんとか許容範囲か…と当時の私は判断してしまった。
いや、ニンテンドーswitchがもう一台買えてしまうんよ(買うなよ)
ポケモン新作が出るから一人で本体二台持ってポケモン交換がしたいけど、あきらめざるを得ない。(持つなそんな夢)


しかし。
私は「鍵屋を呼んでぼったくりに合う」という経験、そしてぼったくりマンと価格交渉が出来た、というワクワク感の方がそろそろ勝ってきてしまい、3万くらいなら対価としてそれなりに順当かもなぁ!!!! という気分になってきてしまっていた。(よいこはマネしないでください)
しかもこの鍵屋のお兄さん、話を聞くに夜中に隣県からわざわざ車を走らせて来たっぽいし…。(やっぱり、交通費と深夜出張費くらいは出してあげたいという人の心)

この後、「会社の上司に聞かせて納得してもらわないといけないから」という理由で、価格交渉の子芝居を録音することになり(これ絶対、後で客が冷静になって「もっと安くしろや!!!」とか「ぼったくりじゃねえか!!」と訴えて来た時に持ちだすためのやつじゃねえか!!!!)、私は更に面白くなってしまった。
私は楽しい旅行によりメンタルが無敵状態に入っており、トラブルをトラブルと思わないまま楽しむ精神性をいつの間にやらゲットしていた。

そして部屋のドアを無事開けてもらうことも出来た。

鍵を開ける様子を間近で見ていたが、こちらもエンタメ性があって最高に面白かった…。
私が頼み込んでお金を積んでも、鍵を開けるところを見せてくれる人はなかなかいないだろう。
いい経験ができた…。
別に、鍵屋はそういうエンタメ商売ではないのだけれど。


ちなみに、鍵屋のお兄さんは私に散々ぼったくり扱いされてやや傷ついたようで、「すみませんね高くて…」とぼやいていた。
高いのは事実なのでそこはその…そうだね…。(一応ググった感じでは、1万5000円~2万程が良識的な相場のようなので、出張費用と深夜料金を出したら3万ぐらいが相場で、5万はちょっと高いと思う)


***


今回私が当たった業者は、料金の合意を取ってから作業に入っていたが、ガチのぼったくり業者は勝手に作業に入り後から10万とかの請求をするらしいので、私が使った業者は比較的良心的というか…、ガチのぼったくり業者に遭わなかったことはまだ幸運だったのかもしれない。
もちろんそんな業者がのさばっていていいはずもなく、消費者庁から業務停止命令をされたりしている業者もある。

「鍵のレンジャー」、「鍵のレスキュー」、「鍵の出張24時間センター」、「鍵の 110番24時間」、「鍵のラッキーセブン」、「カギの24時間救急車」、「カギ の110番」、「鍵の110番救急車」と称して行われる鍵の開錠・修理等に関する役務の取引に関する注意喚起 (↓リンク先PDFダウンロード)

でもこの業者は裁判によって業務停止命令が令和4年4月1日付で解除されており、今も普通に営業しているっぽいが…。
もし緊急で鍵開けを頼みたい事があっても、この系列の鍵開け業者には頼まない方が無難だと思う。


鍵系の業者のホームページ、見た目は綺麗だがサービス名や会社名が分かりにくいようにされていたり、同じ会社が何件ものホームページを運営していることも多いようだし、詐欺やぼったくりのノウハウが業界全体で共有されているように感じられるので、(人の弱みに付け込み焦らせてお金を出させる商売であることも感じるし)可能であればもう利用したくない。

この手のお仕事は人の弱みを握ることになるので、企業倫理がしっかりしていて公正の感覚のある業者に仕事をして貰いたいけれど、業界全体がダメそうでは…? という印象にどうしても傾いてしまう…。
(私は悪い考えがついつい浮かんでしまうタイプで、鍵を失くしてしまう、あるいは焦るとお金を出してしまうようなタイプのうっかりさんの個人情報や住居のセキュリティの情報、欲しい人はたくさんいるだろうな~と思ってしまう…、そして、この業者ならばそんな使い方はしないだろう…と思わせてくれるような業界には見えない…)

最後に書類にサインもしたし、悪用ではないかの確認のために免許書も確認された。また、鍵を取り換える場合はそちらは管理会社に頼んでね、ということだった。(管理会社を通さない鍵の付け替えはもちろんよろしくないからね…)
書類に書かれている企業名はお兄さんの制服に書かれている会社名とはまた別だった。実在はしているようだが、調べても実態があやふやで、どうも隣県の会社ではない。
つくづく不安になるな…!!!?


***


ちなみに失くした鍵は数日で旅行先の施設から出て来たのでご安心を。

発見場所やタイミングから想像するに、落としても音が出ない場所で落としていたっぽい…。(伏線回収)
また、普段着ている上着はポケットから物が落ちたりしないのだが、北海道旅行に合わせて秋物の上着を着て行ったのが裏目に出てしまったっぽい。(これも伏線回収)
出て来てよかった。鍵を作り替えなくてよくって。
万一オートロックの鍵を全戸分変えるので費用負担よろしくとか言われたらやばかった…。

早めに北海道の心当たりの場所の警察に連絡をして、電話で遺失物の届け出を出していたのが功を奏した。
遠方で落とし物をした際は着払いで郵送もして貰えます。ご安心を。
受け取った後に受領証を送ることが必要になるので、コンビニのプリンターからFAXを送りましょう。


今後鍵を失くした際のためにどうしようか…と考え、合鍵を作る事や合鍵をポストに入れておくことなどを考えてみはしたけれど、やはり「鍵を失くさない」ことが一番大切であるように思う。
鍵を鞄などに固定できるリールのついたキーホルダーなどを用意するのが一番良いだろうか。

ちなみに、学習した鍵の開け方を用具を用意して実践するのが最終手段…? と思い浮かぶが、実際にやると通報されると思う。犯罪なので。
鍵開けの用具は専用の物なので、業者以外に対しては販売されていないばかりか、法律によって合理的な理由のない所持は禁止されている。空き巣の予防のためだ。


とりあえず、気に入るデザインの鍵を落とさないようにするグッズが欲しい、と思う今日この頃です。


***


流石に私みたいな人そうそうおらんやろうな…と思っていたが、
バーチャルユーチューバー事務所にじさんじ所属の迷探偵シェリン・バーガンディさんが「自室もオートロックのセキュリティしっかりしたマンションで鍵を部屋に置き忘れた」という理由で鍵屋を呼んでいるのを見て、親近感が湧いてしまった…。

(動画はその件のご本人による解説音声に、あってんしょんさんという方が手描きでイラスト動画を作成された、いわゆる手描き切抜き動画)




個人的「部屋に鍵を閉じ込めたまま出かける」の予防策は、最初に書いた「ドアの裏にフックを付けて、そこに鍵を置いておく」(ドアを開けるのと鍵を取る動作をワンセットにする)がおすすめ。

何はともあれ、もう二度と鍵やスマホを落とさずに済みますように…。
これを見てくれている方も、どうか鍵を失くしたりすることがありませんように。
また、もしそうなってしまった時に、ぼったくり業者に当たりませんよう、ご武運をお祈りしています…!!

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