FE風花雪月のダイマがしたい

 北海道旅行の日記を書きたいな~、とか思いながら、
気がつけば早くも6月が終盤を迎えており、大変焦っております!!!!


なぜなら、本日、2022年6月24日は、私が初出情報公開で「買おう!」と決めていたゲーム、
「ファイアーエムブレム風花雪月 無双」の発売日なのです!!!!
(以下、長いのでファイアーエムブレムを英語表記の頭文字から取って「FE」と略します)


しかし!!! 発売日までにやりたいと思ってたことが全然出来てねえ!!!!
そのやりたかったけど出来なかったことに、この無双の前提作品「FE風花雪月」を遊び倒したり、解釈語りを山ほどしておく、という願望がありました。
何故なら、スピンオフ続編を遊んでからだと、前提作品のみを純粋に楽しむことはできなくなるからだ…!!!!

私は好きな作品の解釈を文章にしたためるのが大好きですとも!!!
(口調がどんどん暑苦しくなっていく…)


この願望を消化するために、軽い作品の語りと、この作品でどうしても思いの丈を語っておきたいキャラについて、今のうちに書き残しておこう、と思いました。
今作のヒロインポジションの「エーデルガルト」というキャラについてです。


1.FE風花雪月のダイマというか語り


この作品の筋書きを軽く紹介すると、
ファンタジー世界で傭兵稼業をしていた主人公が、
各国の未来ある若者や王族・貴族たちが集う士官学校の教師に任命され、
教師として担当する生徒たちと楽しい日々を過ごしていくが、
大陸中を巻き込む陰謀や戦争に否応なく関わって行く…みたいな話です。


私はこの作品で描かれているテーマ性や大好きで、この世の差別問題や戦争の悲惨さを伝えたい…!!! という情熱がめちゃくちゃ込められたゲームなのです…。
また、「ゲーム」という、自分がその世界に主体的に関われる媒体であることを活かし、「プレイヤーに悩ませる、考えさせる」作品です。

また、登場するキャラクターは皆活き活きと血肉が通った人間として描かれていて、彼らの悩みやそこからの成長を見守るのもとても楽しいです。
構造に目を向けさせるためなのか、「絶対的悪」や「絶対的正義」のキャラクターは出て来ません。
(なので私の絶対悪萌えには引っかかるキャラが居ないのだけど…)


物語はプレイヤーの行動や選択肢で展開や結末が変わっていきます。
同じ戦争の、侵略戦争の加害者側につくのか、被害者側につくのか、という点すらも、プレイヤーの選択によって実は変わってきます。
(なので、この作品には「このキャラクターの行動は常に絶対的正義だ」と言えるような主人公的な人は存在しません。そう勘違いすることはできるけれど…)

一周だけして、自分のプレイした物語や、置かれた立ち位置を「正解」として遊び終わる事も出来るのですが、
同じゲームを複数周プレイすることによって、自分が見て来なかった情報や立場に目が行き、再び「考え直す」事を要求される…「現実には絶対的正解などない、考えることに安住の地はない」という構造になっていて、「考えすぎる」「考えるのが好き」な私には非常にマッチしたゲームでした…。



ちなみに、このゲームが合うか合わないかを判断する上で基準にすべきは、物語の悲惨さに耐えられるかどうか以上に、ゲーム自体の難易度だろうと思います。
初心者救済要素は多数実装されており、シミュレーションRPGとしては難易度が特段高くはないのですが、
このゲームジャンルやゲーム自体に慣れている人以外にはかなり情報量が多いゲームで、プレイするのが純粋に大変な可能性があります。
普通のRPGなどと比べて、キャラクター数が純粋にすげー多いんですよ…。
元々ゲームが好きで、多数のキャラクターの育成・情報把握をすることや、システムを理解すること、戦略を考えることなどが好き、という人には向くと思います。


ゲーム好きの人や、気質として考察が好きで、そして何か遊ぶゲームを探している、という人には是非候補としてオススメしたいです!!!














(※以下、ネタバレ込みのキャラクター語りになります)



















2.エーデルガルトという少女の語り


ゲームやる気はないんだけどお前の語りは聞いてやってもいいわ~~~というそこの方!!!
私のエーデルガルト語りを聞いて行ってくれませんか~~~!? 語りって言うかただのネタバレ込みのキャラ紹介ですけど…。



エーデルガルトというキャラクターは、今作のヒロイン(※諸説あり)であり、アドラステア帝国の皇女であり、
傭兵だった主人公が物語冒頭で命を助け、主人公が教師になるきっかけを作った少女であり、そして実質的なラスボスです

これは「この子だけ攻略難易度高すぎ!! ラスボスかよ!!」みたいな比喩ではなく、
この世界で起きる戦争を主体的に起こした、世界を戦乱に巻き込んだのがエーデルガルトその人、という意味です。

侵略戦争を受ける側の国の立場に主人公が立つとき、彼女は悪しき帝国の統治者として「倒すべき相手」として描かれます。
しかし、彼女の傍に立つルートも存在していて、彼女がいったいどういう思いで戦争を起こしたのか、ということも知ることができます。

私は「ラスボス」が好きなんですけど(隙あらば自分語り)
ラスボスは「この世界は何を悪として描くのか」ということの象徴だと思っているため、興味を惹かれるのです。(まあ純粋にぴかぴかの悪役が好きなのもある)
しかしエーデルガルトというこの少女、全体を通して見れば全然「悪人」としては書かれていなくて、むしろ高潔かつ人間味もある性格。でもやってることは侵略戦争という悪事。
彼女のそういう複雑性が、このゲームのすごく好きなポイントなのです…。(各キャラにこういう矛盾点や「好き!!」てなる複雑性ポイントがあり、本当にすごいです…)


(以下もっと核心的なネタバレ)


この世界には、「紋章差別」という架空の差別問題が根深くあります。
一種の、血筋に基づいた天才崇拝のようなもので、「紋章持ち」という才能がある人間だけが貴族として家を継いだり、価値のある人間として見られる、という伝統的価値観があるのです。

これは元々といえば、大陸の各国の更に上位の存在、この世界を実質的に統治しているセイロス教会が、「このようなシステムを作れば、大陸の平和が維持できるのではないか」と考え、善意を持って運用していた制度でした。

しかし、「紋章」という特別な才能は血筋により発現するもの故、後世になると血が薄くなり貴族の中にも紋章を持たない人間が多くなってきたり、紋章を持つ/持たない故に人間扱いされない、という人々も多く居ました。
利点もあり、本来は搾取のための制度ではないのだが、現実の人間を苦しめる、時代に合わない部分もある、という状態だったのです。

エーデルガルトは、非常にリベラル・人権重視的な考え方の皇族で、これらの「紋章差別」や「血統主義」「貴族主義」「教会に依存した価値観」を変えたい、と強く願っていました。
それはエリート教育を受けた結果一般市民と違ってそういう優れた思想を持っている、という意味とはまた違い、そもそものエーデルガルト自身が、苛烈な紋章差別により、PTSDレベルの心的外傷を受けており、自分のような人間をこれ以上生みたくはない、という個人的感情を強く強く持っているのです。

差別とは、持つ者が持たざる者を迫害する事だけを指すのではないのだと、思います。
エーデルガルトは元々生まれつき紋章を持っていましたが、「次期皇帝になるような人の上に立つ存在は、それに見合う優れた紋章を持つべきだ!!」という思想を押し付けられ、親の黙認の元、自分を含めたきょうだい全員が監禁され「紋章の後天的付与」のための惨たらしい人体実験を受け、そこから生き残って精神が健全なままで居たのは自分くらい(だから長女でもないのに次代皇帝が内定している)、という壮絶な過去を経験しています。
皇族であっても、人を率いるアイコンとして見られ、まともな扱いを受けて来なかったのです。


彼女は、「こんな世の中は間違っている!!!!!!!」と強く思い、しかし、その「恨み」をぶつける相手を冷静に冷静に考え、そのために取る適切な行動を必死で考えました。
自分に人体実験を受けさせた相手でもなく、父でもなく、この世界の制度そのものを正したい、と思った。
(そして用意周到に貴族たちの支持を得て、制度を変えるための権力を得るため、父親から皇位を簒奪した)
大抵の人間は目先の相手に復讐をしたいと思うか、自分より弱い立場の人に不満をぶつけて終わってしまう中、彼女は非常に高潔な精神の持ち主だなあ、と私は思うのです。

しかし、彼女は、「そのために、侵略戦争を仕掛け、他国を併合して権力や武力を増強し、大陸を実質的に支配しているセイロス教会というより上位の存在を破壊する」という手段を取った。


それは悪だろ。

しかし、彼女は、自分がやっていることを「悪」だと認識した上で、「それでも最短距離で制度を変え、人を助けるには、こうするしかない」という焦燥感に突き動かされて生きています。
自分のやっていることは、人の命を選別する事だと自覚している。
自覚した上で、人を踏みにじっている。
彼女は、「この戦争で命を落とす人と、制度を変更しないことによって生まれる、未来の犠牲者」を天秤にかけて、後者を優先すると決めている。
他の国のトップを、彼女や彼女の信奉者は「未来の犠牲を肯定している」と、見ようとして来なかった差別構造への自覚のための土台に載せてくる。
彼女は、自分が後の世にどんな汚名を被っても構わない。でも、どうやっても被害者の立場に立ってしまう故に、そうせざるを得ない。
本当は、彼女に人の命をそうやって、踏みにじる権利が無いことを分かっている。それでもやる。

なんという、高潔で、そして堂々たる悪なのか…。


侵略戦争は絶対的に悪であるということは作品を通じて書かれており、勿論彼女を敵に回すルートでは、彼女は「平和な世の中を壊し、多数の人を死に追いやった」と見られます。

しかし、その裏側には、彼女の高潔な理想を追求する精神がある。

彼女が本当は、平和な幸せな日常が好きで、学校生活が楽しくて、だらだらしたくて、ごく普通の女の子で、しかしそれらの幸せを自らぶち壊すとしても、どうやっても自分はその道を歩まざるを得ない、という決意がある。


本当に…大好きなキャラクター造形なんですよね…。

悲しい、とても悲しくて、この少女がいたことは私の心にぐっさりと残り続けるだろうけど、私は彼女と同じ道を歩みはしないかも…と、思ってしまうことが、結構悲しかった。



このゲームをプレイした人の中でよく言われるのは、「エーデルガルトは悪である」「エーデルガルトは正義であるから、悪と呼ぶのは辞めてくれ」「エーデルガルトと敵対するキャラは保守思想で人殺し制度を容認している」みたいな非常に極端な物の見方なのですが、このゲームに関しては単純化して善悪白黒どっちかない思考に囚われるのは辞めてくれ~~~!!! って思っちゃいます。
私がキャラを「悪」判定する時は結構褒める意味もかねての「悪(敵ながらあっぱれ)」みたいな感じなので、つい「悪」判定を出しがちですが、「正義の部分もあり、悪の部分もある」みたいな感じなんですよね、本当は…。

高潔な精神と理想や正義感がある事は、事実としてそうであっても、その理由に基づいた侵略戦争で命が失われることを肯定してくれることは絶対になく、
「高潔な理想に基づいた侵略戦争ならば、それを起こした人の事も絶対的正義として扱ってあげるべきだ」とは、私は思わないのです。
しかし、取った手法が間違っていても、その高潔な善意、誰かを自分の人生を賭してでも助けたかった気持ちまでは否定されるべきではない。

その上で、私たちが現実世界の戦争や差別問題に対してやれることは何なのか、を考えたいところです…。



本当にこのゲームに関しては語りたい事、他の人の反応と自分の感想との差異について思うこなど、山ほど言いたい事があるのですが、今回は時間的都合でこのあたりで終了になります。

ご拝読ありがとうございました。


(この記事を書くのに、2時間30分かかりました)

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