アンソロの作り方について考える

タイトルの通りです。
同人誌の一形態、アンソロジー(複数人の執筆者が書いた、一つのテーマについての作品を集めた作品集)の作り方について、独断と偏見で考えた備忘録です。

※実用目的ではなく、特に同人誌を出した経験が豊富なわけではない私の「このことについて妄想してメモを書いてみたら楽しそう」というお遊び的要素の高い記事なので、実際にアンソロを作られるつもりで参考情報の収集をされている方は、別の手段でしっかりと情報を収集されることをお勧めします。



■事前準備

・テーマ、仕様、企画、タイトルなどについて考える

やりたいことを考える。楽しい。

・テーマ
・タイトル
・表紙の構図
・印刷サイズ
・使用したい印刷所
・つけるならば、ノベルティ

など、普通の同人誌でも考える事を考えていく。


アンソロを作るならノベルティを付けるという風潮があるが、
「アンソロ高い! 金もうけをしている! しかも人の作品で!」という過激な意見への回避手段(利益が出ないようにノベルティを付ける)という理由と、「せっかくの楽しいアンソロ企画だしノベルティも作りたいな♪」という主催者のウキウキが魔合体した風習なので、別になくてもいいと思っている。
自費出版で、印刷費が回収できる見込みなどそもそもなく、作業時間なども考えれば赤字もいいところなので、ノベルティがなくても利益など出ないと心得るべき。

・公募制か招致制かを決め、招致制ならば誘いたい人をリストアップする

まず描き手の人が居ないと始まらない。

公募制だと本人に知名度があったりジャンルに人が居ないと難しかったり、どの程度人が来るのか読みづらいと思うので、知り合いが沢山いるなら招致制の方が楽だと思う。
根性さえあれば人を誘えなくても一人アンソロという手段があるが、それは今回の主旨ではないしかなり稀な例だと思うので、除外。

同ジャンルなどの描いてくれる見込みのある人が多ければその人たちを誘えばいいが、自分の知り合いで同ジャンルではないが仲良しの(この人の作品が見たい)人が居るなら、頼んでゲストという形で誘っても良い。
多分ジャンルを超えた友達が多い人なら、テーマに被る創作活動をしている人が居なくても、人徳だけでもアンソロが出せなくはないと思う。

誘う=OKしてもらえる、ではない。
特に表紙などを頼める人は複数当てがあるとよろしい。

知り合いの人なら、正式な依頼の前に声をかけておくとスムーズである。

・初売りの参加イベントを決める

時期が直近過ぎれば勿論原稿が描けず企画倒れになるし、あまり先過ぎても忘れられたりする可能性がないわけではない。
今はコロナなので先の情勢が読めないので、難しい所があるが…。

アンソロを一度出版するとその後は定期的にイベント参加することになると思う。
自分がこの先安定的にイベント参加できる状況か考え、せめて委託などを出来るツテがあるほうが無難。

通販の有無も考えておく。
考えておくというか、自家通販で良いので、通販自体は誰にでも可能だと思う。
書店委託については私は経験がないのでわからない。ごめんなさい。

・健康と、時間と、精神安定と、お金を用意する

大事。
同人は生活に余裕がないならやれる趣味ではないし、アンソロ主催はなおさら。
やりたい仕様にもよるが、10万くらいは余裕で飛ぶ。
凝る人ならばいくらでもお金をかけることが出来る。

アンソロ作業で忙しくなって体調が悪化したり、入稿が予定日より遅くなってしまい追加でお金が必要になったりすると思うし、マジで金銭面や生活や体調や精神が安定していることが大事。
無理に出すもんではない。

・締め切り日を決める

やりたい仕様や印刷所を決め、入稿予定日を決める。
(極道入稿とかじゃなくて普通に早割の日に出来た方が嬉しいね…)
そこから遡って、編集のために必要な期間を取り、更にもう少し前に参加者さんに最初に伝える締め切りを決める。
人間の性(サガ)として、絶対に絶対に締め切りを守れない人は居るので、事前に余裕を見て設定するのがお互いの精神衛生のため。

ついでに言うと自分の作業の速さ、作業量などももちろん計算に入れた方が良い。
編集作業の前に自分の原稿作業が入ってくるし。

表紙、編集、HPづくり、告知作業、イベント参加の手続き、参加者さんへのメール送信や返信、などやることが沢山あるので、想像より大変。
事務作業やマルチタスク苦手な人はなおさら。
自信がなく、志を同じくして手伝ってくれる人が居そうなら、副主催や共同主催などの名義で誘っておいて分業した方が精神的に楽になるかもしれない。

あと、たまに「参加者さんの作品を見てから、その内容を拾って総まとめ的な作品を最後にor表紙(集合絵等)などに追加したい」という夢のある予定を立てる方がいるが、その場合は締め切り日の後に自分の作業が追加で入るので、更に締め切りを早めておいた方が良さそう。
すっげー作業大変そうだな、と思う…。

・自分がちゃんと同人誌を作ってみる

自分に知識がないとテクニカル面のサポートが出来ない。
一回作ってみるとやりがちな失敗が想像出来て楽。
自信がないならともかく、自信があるなら正直別にアンソロ企画するまでに一回作ってたら充分。
後はネットの集合知や同人知識詳しい友達を頼らせていただく。

・公募の場合はこの段階で告知HPを作る

無料レンタルサーバーとかで無料ブログとかで良い気がする
お洒落にしたければレンタルテンプレートのサイトとかも多数あるし、本気でやるなら詳しい人に声をかける
今はツイッターとかでも良いのかもしれない 知らんけど

テーマやコンセプト、分かりやすい企画名(「○○アンソロ」みたいなやつ)、頒布予定イベント、連絡先について書く

募集条件は予め練っておく(「同人誌を出した事がある」か、「最低限の印刷知識がある」を足切り条件にする場合が多い気がする)
募集締め切り日も決める 大体こういう手の物は締め切り日直前に連絡が一気に来るので動きやすい日にしておく

小説、絵(カラー/モノクロ)、漫画、どの形式の募集をするかも書く
最近だとあまり気にしなくても良いかもしれないが、アナログ原稿の受付の有無もあると良いのかもしれない(今はデジタルのみにして自分でデータにして貰う方が様々な面で無難かもしれない…)
アナログ原稿なら宅急便での郵送になり、締め切り日が早まったり、細かい送り方の指定(クリアファイルに入れて欲しいなど)や送り先などのやり取りが増えたりする。

最低ページ数、上限ページ数も設けるなら書く
(見込み参加人数によるが、上限を設けるなら8~16ページ程度の短編と言えるレベルの上限を設けることが多いかも)
上限を定めておかないと「自分で個人誌として本を出しなさい」と言いたくなる数十ページの情熱の籠った分厚い寄稿作品が来る可能性があり、そういう場合も「嬉しい!!! どんどこい!!」と心の底から言えそうかを基準にするとよいのでは…。
その人だけ目立って他の参加者さんに申し訳ないとかはあまり考えなくていい。主催者が一番えらい。

■募集する

招致制なら連絡をする
公募制なら、以下の詳細を伝える、
もしくは以下の詳細を事前に書いておき、貰った連絡に返信をする

招致制で急に声をかけるなら、何故声をかけたか(普段の作品を見てこういう所が好きで~とか)一言伝えると喜ばれる。

・描いて欲しいテーマ、アンソロのコンセプトや方向性など
・締め切り日

・原稿の規格(画像サイズやカラーモード、dpi、提出データ形式など)
・原稿提出方式(外部ストレージ利用の上でURLとパスワード記載してメール、など)
・コメントカット提出形式(参加者がちょこっとずつあとがきを書く&自分の宣伝などをするやつ)
・企画ページがあるなら、それについて募集(別日にしてもいい)

・返礼について
 (献本一冊がお礼という場合が多いはず。男性向けだと金銭で依頼することもあるのだろうか…?)
・して欲しい事、やめて欲しい事
 (本文の1P目にタイトルと名前を入れて欲しい、公序良俗に反する内容は避けて欲しい、企画発表日までアンソロについて内緒にしてほしい、締め切りが守れなかったり困った時は連絡して欲しいなど)

・後から聞いても良いが、アンソロ裏表紙やHPに掲載するPNやサイト、SNSについて質問する
・招致制であれば、いつ(募集締め切り日)までに返信をしてほしいか

表紙、HP、デザインなどを他の人に依頼するなら、こちらも同じような事を連絡する。
(この辺の人とはただ作品を依頼するよりももっと連絡を密にしないといけないので、ここまで事務的なやり取りになる事は少ないかも)

表紙には描いてもらった後に文字を乗せる編集作業が入ったり、HPで公開したりするので、編集作業が不安なら少し締め切りを前倒しにするか、描けるなら自分でさっさと描けば楽かもしれない。
でも別に自分が絵描きだからと言って必ずしも自分で描く必要はなく、ぜひ描いて欲しい人に依頼して良い。
相手の都合が悪かったら断ってくれる。


あと、マジで原稿なんて何もわから~ん! という人の参加が見込まれる場合、提出原稿と同じサイズ・同じ規格で、断ち切りがどこまでなのかなどをレイヤー分けして示した「原稿のテンプレート画像」を予め用意しておくと親切かもしれない。
玄人が集まるなら、原稿サイズを伝えるか印刷所のテンプレートを置いておくだけ問題がないが。
印刷原稿作ったことがない人は「断ち切り」も「ここからここにセリフを書くべきではない」「カラーモード」「解像度とは何なのか」も大概わからない。
過保護かもしれないが、締め切り日に72dpiの原稿データが届いて頭を抱えたくない場合は。

■作業タイム~原稿が揃うまで

・自分の原稿、企画ページなどの作業をする
・決まっていない事を決めたり、デザイン作業などをする
・ノベルティなどを作るなら作業する(なくてもいい)
・イベント参加の手続きをする
・告知HPを作っておく(作っていなければ)
・公募で参加者が確定したならば、ある程度の所で参加者公表しても良いかもしれない?

・原稿が届いたら、届いた原稿のチェックをする

概ね、問題なく印刷が出来る状態かをチェックできればいいはず。
修正が可能そうなら、誤字脱字、断ち切りにかかって切れそうな文字や絵などを指摘してあげると親切。
詳しい人だと、モアレが出そうでないかなどを気にしてくれる人もいる。親切オブ親切。
でも基本的にはデータサイズや形式などに問題が無ければ大丈夫。
印刷所の配布しているテンプレートにコピーペーストするなどすると大丈夫か分かりやすい。

大丈夫そうなら、問題なく受領した旨を伝える。
ここで一言、読んで面白かったという事が伝わる感想を伝えると描き手は安心して喜んでくれるが、それは必須ではないので言わなくても良い。めっちゃ忙しい時期だし。

あと、これは先に聞いておくべきで提出段階で教えて貰うべき情報なのだけど、左右のどちらを開始ページにしてほしいか(あるいは四コマ漫画などでどちらでもいいのか)聞いておく。
編集段階で必要。

・原稿が間に合わなさそうな人からの連絡を待つ

このために基本的には締め切りは余裕を持て…余裕を持て……。

■編集作業~アンソロ発行まで

・編集作業をする

・集まった原稿を見て、掲載順を決める
・目次、コメントカットページ、合間の調整用余白ページ、奥付などの事務ページを作る
・ノンブルを入れる。地味に面倒な気がする。
 この作業、最新のソフトの機能とかフォトショのアクションとかで上手い事出来るものなんかな? 知識がなさすぎて私にはわからない…。

・表紙に参加者の名前、タイトルなどを載せる
・使いたい紙やページ数から背幅を大体計算してデザインする
 (分厚くなかったら背表紙を特別にデザインする必要ない)

・データを入稿できる状態に整える

・入稿する

ばんざーーーい!!!!

・参加者に無事入稿の旨と、連絡事項の連絡をする

入稿後に確認することになる事が多い事項

・献本の受け渡し方法(郵送/当日手渡し)の質問、郵送であれば送り先も
 当日イベントに参加するかどうかは直近に決める人も多いため
・当日頒布するスペース名やスペース番号など
・サイトに使用するサムネイルやサンプルに使っていいページの確認
 (ネタバレを気にする場合などは 聞く人は親切)
・サイトの情報公開予定日

・告知サイトを公開もしくは更新して、ツイッターなどで告知する

あと頒布料金を決める。確定したページ数、参加者、サンプルページなども載せてみる。

・イベントに参加して、本を販売する

たのしー!!!!

献本手渡し分は予め分けておいて、菓子折りを添えたり感謝の手紙を書いたりすると、参加者さんは普通に喜んでくれるので胸があたたかくなる(必須ではないだろうけど、もし他のタイミングで感謝を伝えられてなかったらこのタイミングでやるのが良いと思う 感謝大事)

・告知サイトの情報更新をしつつ、郵送分の献本発送や、通販の対応をする


~おわり~


***

妄想するのは楽しいけれど、実際にアンソロ作るのおそらく大変すぎるな…と思った。

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